銀歯が取れたらすぐ歯医者へ!放置するリスクと接着剤を絶対に使ってはいけない理由
食事中に硬いものを噛んだと思ったら、それが自分の銀歯だった――。
銀歯が取れるのは決して珍しいことではありません。
しかし、痛みがないと「忙しいから落ち着いてから歯医者に行こう」と後回しにしてしまったり、「とりあえず家にある接着剤でくっつけておこう」と考えたりする方もいるようです。
結論からお伝えすると、銀歯が取れたらできるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
そして、市販の接着剤で自分で付け直すことは避けるべきです。銀歯が外れた歯は、細菌や外からの刺激に対して無防備な状態になっており、放置する期間が長いほど治療が大がかりになりやすいためです。
本記事では、銀歯が取れたときにまず確認すべきこと、取れる原因、放置した場合のリスク、接着剤を使ってはいけない理由、受診までの過ごし方、歯科医院での治療の流れと費用の目安、そして再発を防ぐための予防策までを順に解説します。
銀歯が取れたときにまず確認すべきこと
銀歯が取れた直後は、驚いて慌ててしまう方がほとんどです。
しかし、この最初の対応によって、その後の治療回数や費用が変わることもあります。
まずは落ち着いて、次の4つのポイントを確認しましょう。
取れた銀歯は捨てずに保管する
取れた銀歯は、必ず捨てずに保管してください。
銀歯そのものに変形や破損がなく、歯の側にも虫歯などの問題がなければ、取れた銀歯をそのまま付け直せる場合があるからです。
再装着ができれば、新しく型取りをして銀歯を作り直す必要がないため、通院回数を少なく、費用も比較的抑えやすくなります。反対に、銀歯をなくしてしまうと、仮に歯の状態が良くても作り直しが必要になります。
「もう使えないだろう」と自己判断せず、まずは歯科医院へ持参することが大切です。
▼銀歯の洗い方と保管方法▼
取れた銀歯には、唾液や食べかすが付着しています。流水で軽くすすぎ、汚れを落としてから保管しましょう。熱湯での煮沸やアルコール消毒、研磨剤入りの歯みがき粉で強くこするといった方法は、銀歯の変形や傷の原因になるおそれがあるため避けてください。
保管には、蓋付きの小さなケースやチャック付きの袋が適しています。ティッシュに包んでおくと、ゴミと間違えて捨ててしまうケースが少なくありません。受診当日に忘れないよう、財布やバッグなど持ち歩くものの中に入れておくと安心です。
痛みやしみる症状があるかを確認する
次に、銀歯が取れた歯に痛みやしみる症状があるかを確認しましょう。
冷たいものや熱いものがしみる、何もしていなくてもズキズキ痛む、歯ぐきが腫れているといった症状がある場合は、銀歯の下で虫歯が神経の近くまで進んでいる可能性があります。こうした場合は、特に早めの受診が望まれます。
ただし、「痛くないから大丈夫」とは限りません。以前に神経を取る治療をした歯は、虫歯が進んでも痛みを感じにくいためです。痛みの有無にかかわらず、受診が必要であることに変わりはありません。
銀歯を誤って飲み込んでしまった場合の対処
食事中に銀歯が取れると、気付かないうちに飲み込んでしまうことがあります。
小さな銀歯であれば、多くの場合は便とともに自然に排出されるとされています。
一方で、飲み込んだ直後に激しくむせた、咳が止まらない、息苦しさや胸の違和感があるといった場合は、銀歯が食道ではなく気管に入った(誤嚥した)可能性があります。
この場合は様子を見ずに、速やかに医療機関を受診してください。腹痛や吐き気など、ほかに気になる症状がある場合も同様です。また、歯科医院を受診する際には、銀歯を飲み込んでしまったことを伝えましょう。
歯科医院へ連絡する際に伝えるべき内容
歯科医院へ予約の連絡をする際は、次の内容を伝えるとスムーズです。
状態をあらかじめ伝えておくことで、医院側も必要な処置や時間を見込んで予約を調整しやすくなります。
・いつ銀歯が取れたか(今日、数日前など)
・どの歯か(上下・左右・奥歯や前歯など、わかる範囲で)
・取れた銀歯が手元にあるか、なくしてしまったか
・痛み・しみる・腫れなどの症状があるか
・その銀歯を入れた歯科医院かどうか(初診かどうか)
受診当日は、保険証(マイナ保険証)と、保管していた銀歯を忘れずに持参しましょう。
銀歯が取れる主な原因
銀歯は、歯科用のセメントで歯に固定されています。
それが外れるのには、必ず何らかの原因があります。原因によって必要な治療が変わるため、代表的なものを知っておきましょう。
銀歯の下で虫歯(二次う蝕)が進行している
銀歯が取れる原因として特に多いのが、銀歯の下にできる虫歯です。
一度治療した歯に再びできる虫歯を「二次う蝕(にじうしょく)」と呼びます。
銀歯と歯の境目には、時間の経過とともにわずかなすき間が生じることがあります。
そこから細菌が入り込むと、銀歯の内側で虫歯が進行します。
金属は中が透けて見えないため、外から見ても気付きにくいのが特徴です。
虫歯によって銀歯を支えていた歯が溶けると、土台を失った銀歯が外れてしまいます。
取れた銀歯の内側や、歯の表面が黒っぽく変色している場合は、二次う蝕が疑われます。
接着に使われている歯科用セメントの経年劣化
銀歯を固定しているセメントは、毎日の噛む力や唾液の影響を受け、少しずつ劣化していきます。
銀歯の使用期間には個人差がありますが、一般的には5〜10年程度が一つの目安とされることもあります。
ただし、お口の環境や噛み合わせによって大きく異なるため、あくまで参考程度に考えてください。
長年使っている銀歯が取れた場合は、
セメントの劣化に加えて、銀歯自体の摩耗や歯との適合の変化が起きていることも少なくありません。
歯ぎしり・食いしばりによる過度な負担
睡眠中の歯ぎしりや、日中の無意識の食いしばりも、銀歯が取れる原因になります。
歯ぎしりでは、食事のときよりもはるかに強い力が歯にかかることがあるとされています。
こうした力が繰り返し加わることで、セメントが壊れたり、銀歯が変形したりして外れやすくなります。
朝起きたときに顎がだるい、家族から歯ぎしりを指摘されたことがある、といった方は注意が必要です。
粘着性の高い食べ物や硬い食べ物
キャラメルやソフトキャンディ、ガム、お餅など粘着性の高い食べ物は、銀歯に引きはがす方向の力をかけます。
セメントが劣化していたり、すでに虫歯が進んでいたりすると、こうした食べ物がきっかけで銀歯が取れることがあります。
また、氷や硬いせんべい、ナッツ類などを強く噛んだときに、銀歯が外れたり、歯が欠けたりすることもあります。ただし、食べ物はあくまで「きっかけ」であることが多く、その背景にセメントの劣化や虫歯が隠れている可能性がある点に注意が必要です。
歯と銀歯の間にすき間が生じている
銀歯は天然の歯と一体化するわけではなく、セメントを介して歯に固定されています。
そのため、長期間使ううちに、銀歯のすり減りや変形、歯ぐきが下がることなどによって、歯との間にすき間が生じることがあります。
すき間ができると、そこから汚れや細菌が入り込み、セメントの溶け出しや二次う蝕につながります。
結果として、銀歯が外れやすい状態が生まれてしまうのです。
銀歯が取れたまま放置する5つのリスク
銀歯が取れても、痛みがなければ日常生活にそれほど支障を感じないかもしれません。
しかし、取れた状態の歯は非常に傷みやすく、放置することで次のようなリスクが高まります。
虫歯が急速に進行しやすくなる
銀歯が取れた歯は、虫歯が進みやすい状態になっています。
もともと銀歯の下に虫歯があった場合はもちろん、虫歯がなかった場合でも、むき出しになった部分に汚れがたまり、新たな虫歯が始まりやすくなります。
※削った歯はエナメル質が失われ虫歯への抵抗力が低い
歯の表面は、体の中で最も硬い組織といわれる「エナメル質」で覆われています。
しかし、銀歯を入れる際には歯を削るため、銀歯の下はエナメル質が失われ、その内側の「象牙質(ぞうげしつ)」が露出していることがほとんどです。
象牙質はエナメル質よりも柔らかく、酸にも弱いため、虫歯が広がるスピードが速い傾向があります。
さらに、削られた歯の形は複雑で汚れがたまりやすく、歯ブラシも届きにくいという問題もあります。
「痛くないから」と放置している間に、見えないところで虫歯が深く進んでしまうおそれがあるのです。
残った歯が欠けたり割れたりする
銀歯を入れていた歯は、削られている分だけ薄く、もろい部分があります。
銀歯は、その弱くなった歯を外側から補強する役割も担っていました。銀歯が取れて支えを失った状態で噛み続けると、歯が欠けたり、割れたりする危険性が高まります。
特に、神経を取る治療をした歯は、もろくなりやすいとされています。
歯が根元まで縦に割れてしまうと、残すことが難しくなり、抜歯が必要になるケースもあります。
歯が移動して元の銀歯が合わなくなる
歯は、隣の歯や噛み合う歯と支え合うことで、現在の位置を保っています。
銀歯が取れて歯の形が変わると、そのバランスが崩れ、周囲の歯が少しずつ動き始めることがあります。
・隣の歯が傾く
銀歯が取れてできたスペースに向かって、隣の歯が倒れ込むように傾いてくることがあります。
わずかな傾きでも、取っておいた銀歯が元の位置に入らなくなる原因になります。
・噛み合う歯が伸びてくる
噛み合う相手を失った反対側の歯が、空いたスペースに向かって伸びてくる(挺出:ていしゅつ)ことがあります。そうなると、銀歯が入らなくなるだけでなく、噛み合わせ全体のバランスが崩れ、ほかの歯や顎への負担につながることもあります。
歯の移動が起きると、せっかく保管しておいた銀歯が使えず、作り直しが必要になります。
早めに受診すれば再装着で済んだはずのケースでも、時間がたつことで治療の手間や費用が増えてしまうのです。
神経に炎症が広がり根管治療が必要になる可能性がある
虫歯が象牙質の奥まで進行すると、歯の中心にある神経(歯髄:しずい)に細菌の影響が及び、炎症が起こることがあります。炎症が強くなると、激しい痛みが出たり、最終的に神経が死んでしまったりすることもあります。
この段階になると、歯の根の中をきれいにする「根管治療(こんかんちりょう)」が必要になる可能性があります。
根管治療は複数回の通院が必要になることが多く、治療後は土台を立てて被せ物をするため、銀歯の付け直しだけで済む場合と比べて、期間も費用も大きく増えてしまいます。
歯の状態によっては抜歯に至る可能性がある
虫歯が歯の根の深い部分まで進んでしまった場合や、歯が根元から割れてしまった場合には、歯を残すことが難しくなり、抜歯を選択せざるを得ないこともあります。
歯を失うと、その部分を補うためにブリッジや入れ歯、インプラントなどの治療を検討する必要があります。
いずれも、銀歯の再装着と比べると治療期間・費用ともに大きな負担となります。
銀歯が取れた段階ですぐに受診すれば、このような事態を防げる可能性が高まります。
市販の接着剤で銀歯をつけてはいけない理由
「歯医者に行く時間がないから、とりあえず接着剤で付けておこう」と考える方もいるかもしれません。
しかし、瞬間接着剤などの市販の接着剤で銀歯を付けることは、絶対に避けてください。
かえって歯の状態を悪化させ、治療を難しくしてしまうおそれがあります。
瞬間接着剤は口の中での使用を想定していない
家庭用の瞬間接着剤は、口の中で使用することを想定して作られたものではありません。
一般的に、製品の注意書きでも皮膚や粘膜に付着させないよう記載されています。
また、口の中は常に唾液で湿っており、温度変化や噛む力が繰り返し加わる特殊な環境です。
家庭用の接着剤では十分な接着が得られにくく、すぐに再び外れてしまうことも考えられます。
歯科医院では、口の中の環境に合わせて開発された専用の歯科用セメントを、歯の状態を確認したうえで使用しています。
位置がずれた状態で固まり噛み合わせが乱れる
銀歯は、患者さん一人ひとりの歯の形に合わせて精密に作られています。
そのため、ほんのわずかに位置がずれるだけでも、噛み合わせが高くなったり、すき間ができたりします。
自分で鏡を見ながら付け直すと、正確な位置に戻すのは非常に困難です。
ずれたまま固まってしまうと、その歯だけが強く当たり、歯や顎に負担がかかる原因になります。
銀歯の内側で虫歯が進行しても気付きにくくなる
先に述べたとおり、銀歯が取れる原因の多くは、銀歯の下の虫歯です。
虫歯を治療しないまま接着剤で銀歯を付けてしまうと、虫歯を中に閉じ込めて蓋をしたような状態になります。
見た目には元に戻ったように見えても、内側では虫歯が進行し続けます。
しかも外から見えないため気付くのが遅れ、痛みが出たときには神経にまで達していた、ということにもなりかねません。
歯科医院で銀歯を外せず作り直しが必要になる
接着剤で付けた銀歯は、歯科医院で治療をする際に、そのまま取り外すことが難しくなることがあります。
その場合、銀歯を切断して除去しなければならず、本来なら再利用できたはずの銀歯が使えなくなります。
また、歯の表面に残った接着剤を取り除く作業が必要になり、歯を余分に削らなければならないこともあります。
早めに受診していれば再装着1回で済んだかもしれない治療が、作り直しによって通院回数・費用ともに増えてしまうのです。
歯ぐきや口の粘膜を刺激するおそれがある
接着剤が歯ぐきや唇、舌などに付着すると、粘膜を刺激するおそれがあります。
また、はみ出した接着剤がそのまま固まると、とがった部分が歯ぐきや舌を傷つける原因にもなります。
さらに、接着が不十分なまま食事や睡眠をすると、銀歯が外れて飲み込んでしまう危険もあります。
安全面から見ても、自己判断で接着剤を使うメリットはないといえるでしょう。
歯科医院を受診するまでの過ごし方
銀歯が取れてから受診するまでに、数日かかることもあるでしょう。
その間は、次のポイントに気をつけて過ごすことで、歯へのダメージをできるだけ抑えられます。
銀歯が取れた側で噛まないようにする
銀歯が取れた歯は、もろく欠けやすい状態です。食事の際は、できるだけ反対側の歯で噛むようにしましょう。
硬いものや粘着性のある食べ物も避け、やわらかいものを中心にすると安心です。
歯みがきはやさしく丁寧に行う
「触ると痛そうだから」と、銀歯が取れた部分の歯みがきを避けるのは逆効果です。
汚れがたまったままだと、虫歯の進行を早めてしまいます。
毛先のやわらかい歯ブラシを使い、力を入れずにやさしく汚れを落としましょう。
食後はうがいをして、食べかすを残さないようにすることも大切です。
熱いもの・冷たいもの・甘いものを控える
銀歯が取れた歯は、象牙質がむき出しになっていることが多く、温度の刺激でしみたり痛んだりしやすくなっています。熱い飲み物や冷たいアイスなどは控えめにしましょう。
また、甘いものをとると虫歯菌が酸を作り出し、むき出しの象牙質を溶かしやすくなります。
受診までの間は、間食や甘い飲み物をできるだけ控えることをおすすめします。
自分で銀歯をはめ直さない
接着剤を使わなくても、取れた銀歯を元の位置に置いておけば大丈夫だろう、と考える方もいるかもしれません。
しかし、固定されていない銀歯は、食事中や会話中、睡眠中に外れて飲み込んでしまう危険があります。
特に寝ている間に外れると、気管に入ってしまうおそれもあり大変危険です。
銀歯は口の中に戻さず、ケースに入れて保管しておきましょう。
痛みや腫れが強い場合は早めに歯科医院へ相談する
ズキズキとした強い痛みや、歯ぐきの腫れがある場合は、予約日を待たずに早めに歯科医院へ連絡し、状況を伝えて相談しましょう。症状によっては、早めに診てもらえることもあります。夜間や休日の場合は、地域の休日歯科診療所などを利用できる場合もあります。
市販の痛み止めを使用する場合は、必ず添付文書に記載された用法・用量を守り、持病がある方や服用中の薬がある方は、薬剤師・登録販売者に相談してください。痛み止めはあくまで一時的に痛みをやわらげるためのものであり、原因そのものを治すものではありません。痛みが落ち着いても、必ず歯科医院を受診しましょう。
歯科医院で行われる治療の流れ
歯科医院では、まず銀歯が取れた歯と、取れた銀歯の状態を確認します。
必要に応じてレントゲン撮影を行い、虫歯の有無や進行度、歯の根の状態などを調べたうえで、治療方針を決定します。
治療内容は、大きく分けて次の2つのケースがあります。
取れた銀歯をそのまま再装着できるケース
銀歯に変形や破損がなく、歯の側にも虫歯や欠けがない場合は、取れた銀歯をそのまま付け直せる可能性があります。銀歯の内側と歯の表面に残った古いセメントを取り除き、きれいに清掃してから、歯科用セメントで再装着します。
このケースでは、治療は1回で終わることが多いとされています。
銀歯が取れてから早めに受診し、銀歯をきちんと保管していた場合ほど、再装着できる可能性が高まります。
銀歯を作り直す必要があるケース
銀歯の下に虫歯がある場合や、銀歯が変形・破損している場合、歯が移動して銀歯が合わなくなっている場合、銀歯をなくしてしまった場合などは、新しく作り直す必要があります。
・虫歯の治療が必要な場合
銀歯の下に虫歯がある場合は、まず虫歯の部分を取り除きます。
その後、歯の型取りを行い、新しい詰め物や被せ物を作製します。完成までの間は、仮の詰め物で歯を保護し、次回以降の来院時に完成した詰め物・被せ物を装着します。虫歯の範囲が小さい場合は、白いプラスチック(コンポジットレジン)を詰めて1回で治療を終えられることもあります。
・根管治療が必要な場合
虫歯が神経にまで達している場合は、根管治療を行います。
歯の中の神経や汚染された組織を取り除き、根の中を洗浄・消毒してから薬を詰めます。根管治療が終わったら、歯を補強するための土台を作り、その上に被せ物を装着します。治療期間は、歯の状態によって大きく異なります。
治療に必要な通院回数と期間の目安
治療に必要な通院回数や期間の目安は、次のとおりです。
ただし、実際の治療内容は歯の状態によって異なるため、詳しくは担当の歯科医師に確認しましょう。
| 治療内容 | 通院回数の目安 | 期間の目安 |
| 取れた銀歯の再装着 | 1回 | 当日中 |
| 虫歯治療+詰め物・被せ物の作り直し | 2回以上 | 1〜2週間程度〜 |
| 根管治療+土台+被せ物 | 複数回 | 数週間〜数ヶ月程度 |
※歯の状態や歯科医院の方針、技工物の作製期間などにより異なります。
保険診療における費用の目安(3割負担の場合)
銀歯が取れたときの治療は、基本的に健康保険が適用されます。3割負担の場合の費用の目安は、次のとおりです。
取れた銀歯を再装着するだけで済むか、作り直しが必要かによって、費用に大きな差が出ることがわかります。
| 治療内容 | 費用の目安(3割負担) | 通院回数 |
| 取れた銀歯の再装着 | 約1,000〜3,000円 | 1回 |
| 虫歯治療+銀歯の作り直し | 約6,000〜9,000円 | 2回以上 |
| 保険適用の白い歯(CAD/CAM冠) | 1本あたり約6,000〜9,000円 | 2回以上 |
※初診料・再診料、レントゲン検査の有無、治療する歯の部位、負担割合(1割・2割)などにより変動します。
※根管治療が必要な場合は、上記に加えて費用がかかります。詳しくは受診する歯科医院にご確認ください。
このように、早期に受診して再装着で済めば、通院回数も費用も最小限に抑えやすくなります。
費用面から見ても、銀歯が取れたら早めの受診が望ましいといえます。
作り直す場合に選択できる詰め物・被せ物の種類
銀歯を作り直す場合は、必ずしも同じ銀歯にする必要はありません。
歯の部位や状態によっては、見た目や機能性を考慮した素材を選ぶこともできます。
ここでは、代表的な素材の特徴を紹介します。
保険適用の銀歯(金銀パラジウム合金)
一般的に「銀歯」と呼ばれているのは、金銀パラジウム合金という金属です。
保険適用で費用を抑えられること、強度が高く奥歯の強い噛む力にも耐えやすいことがメリットです。
一方で、金属のため見た目が目立ちやすい点や、長年の使用でセメントの劣化やすき間が生じやすく、二次う蝕のリスクがある点がデメリットとして挙げられます。
また、まれに金属アレルギーの原因になることも指摘されています。
保険適用の白い歯(CAD/CAM冠・CAD/CAMインレー)
CAD/CAM冠・CAD/CAMインレーは、
セラミックの粒子を含んだ硬いプラスチック(ハイブリッドレジン)のブロックを、コンピューターで設計・削り出して作る白い詰め物・被せ物です。
一定の条件を満たせば保険が適用され、銀歯と同程度の費用で白い歯を選べるのが大きなメリットです。
ただし、保険が適用される歯の部位や条件が定められており、すべての歯に使えるわけではありません。
また、セラミックと比べると、長期間の使用で色の変化やすり減りが起こりやすいとされています。
適用できるかどうかは、歯科医院で確認しましょう。
自費診療のセラミック・ジルコニア
セラミックやジルコニアは、保険が適用されない自費診療の素材です。
天然の歯に近い自然な見た目が得られること、変色しにくいこと、表面がなめらかで汚れが付きにくいとされることなどが特徴です。ジルコニアは特に強度が高く、強い力がかかる奥歯にも用いられています。
費用の目安は、1本あたり約40,000〜120,000円程度が相場帯とされていますが、素材の種類や歯科医院によって大きく異なります。治療を始める前に、必ず見積もりや説明を受けて納得したうえで選択しましょう。
素材ごとの費用・耐久性・見た目の違い
各素材の特徴をまとめると、次のようになります。
どの素材が適しているかは、歯の部位や噛み合わせ、歯ぎしりの有無などによって異なるため、歯科医師と相談しながら選ぶことが大切です。
| 素材 | 保険適用 | 費用の目安 | 見た目 | 主な特徴 |
| 銀歯(金銀パラジウム合金) | あり | 3割負担で約6,000〜9,000円 | 目立ちやすい | 強度が高い/経年ですき間が生じやすい |
| CAD/CAM冠・インレー | 条件あり | 3割負担で約6,000〜9,000円 | 白く自然 | 適用部位に条件/経年で変色・摩耗の可能性 |
| セラミック・ジルコニア | なし(自費) | 約40,000〜120,000円 | 天然歯に近い | 変色しにくい/汚れが付きにくいとされる |
※費用はあくまで目安であり、歯の部位や治療内容、歯科医院によって異なります。
銀歯が取れるのを防ぐための予防策
銀歯が取れる原因の多くは、日頃のケアや習慣によってリスクを下げることができます。
治療後に同じことを繰り返さないためにも、次のような予防策を心がけましょう。
定期検診で銀歯の適合状態をチェックする
銀歯の下の虫歯やセメントの劣化は、自分では気付きにくいものです。
歯科医院の定期検診では、銀歯と歯の境目にすき間がないか、二次う蝕ができていないかなどを確認してもらえます。
定期検診の間隔は、一般的に3〜6ヶ月に1回程度が目安とされていますが、お口の状態によって適切な間隔は異なります。問題を早い段階で見つけられれば、銀歯が取れる前に対処でき、歯へのダメージも最小限に抑えやすくなります。
歯ぎしり・食いしばりにはナイトガードを活用する
歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、就寝時にナイトガード(マウスピース)を装着することで、歯や銀歯にかかる負担を分散できます。歯科医院で歯型に合わせて作製するもので、歯ぎしりの診断があれば保険が適用される場合もあります。
日中の食いしばりについては、上下の歯が接触していることに気付いたら、意識して離すようにするだけでも負担の軽減につながります。
粘着性の強い食べ物を食べる際に注意する
キャラメルやガム、お餅などの粘着性の強い食べ物は、銀歯が入っている側ではなるべく噛まないようにすると安心です。また、氷や硬いせんべいなどを強く噛む習慣がある方は、歯や銀歯への負担を考えて控えめにしましょう。
毎日のセルフケアで二次う蝕を予防する
銀歯と歯の境目は汚れがたまりやすく、歯ブラシだけでは十分に磨ききれないことがあります。
歯ブラシに加えて、デンタルフロスや歯間ブラシを使い、境目や歯と歯の間の汚れを丁寧に取り除きましょう。
また、フッ化物(フッ素)配合の歯みがき剤を活用することも、一般的に虫歯予防のために推奨されています。
毎日のセルフケアと定期検診を組み合わせることが、銀歯を長持ちさせるための基本です。
まとめ|銀歯が取れたら自己判断せず早めに歯科医院を受診しよう
銀歯が取れたときは、痛みの有無にかかわらず、できるだけ早く歯科医院を受診することが大切です。
本記事のポイントを振り返りましょう。
・取れた銀歯は軽く洗い、蓋付きのケースなどに入れて保管し、受診時に持参する
・銀歯が取れる主な原因は、銀歯の下の虫歯(二次う蝕)やセメントの劣化、歯ぎしりなど
・放置すると、虫歯の進行や歯の破損、歯の移動などが起こり、最終的に抜歯に至る可能性もある
・市販の接着剤で付けると、虫歯を閉じ込めたり、銀歯の作り直しが必要になったりするため使用しない
・早めに受診して再装着で済めば、3割負担で約1,000〜3,000円程度、通院1回で終わることが多い
・再発防止には、定期検診と毎日のセルフケアが欠かせない
銀歯が取れたことは、お口の中に何らかの変化が起きているサインでもあります。
「痛くないから」「忙しいから」と後回しにせず、早めに歯科医院へ相談して、大切な歯を守りましょう。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の症状や治療の効果、費用を保証するものではありません。
症状や治療方法、費用については、受診する歯科医院の歯科医師に必ずご相談ください。
また、保険制度や診療報酬は改定される場合があるため、最新の情報をご確認ください。